
≪あらすじ≫
緑に抱かれた穏やかな国ルトラーン。
街外れの小さな薬屋で祖父と暮らすリシャールは、城の菜園に咲く希少な薬草ライカを摘むことを唯一許された特別な存在だ。
だが彼には決して知られてはならない秘密がある。
それは自分がオメガであるということ。
アルファが多いこの城の中、オメガだと悟られぬよう発情抑制剤を飲み慎ましく日々を過ごしていた。
そんなある日、リシャールの前に現れたのは病に伏す国王の代わりに若くして王座に就いた第一王子ラディオールだ。
菜園に出入りする美しい青年の噂を耳にして会いに来たという。
凛々しくも静かな瞳に見つめられた瞬間、リシャールの身体は熱に包まれ発情期のような状態に陥り、慌ててその場を逃げ出した。
抑えきれぬ衝動――まるで運命に呼ばれたかのように。
それからまもなくリシャールのもとに届いたのは「ラディオール様に関する極秘の相談」という緊急の手紙だった。
再び城へと呼び戻されたリシャールだったが――。