大学生の褒名は夏休みを利用して旅に出た。 だが山奥の宿へ向かうバスが来ない。 途方に暮れていた褒名は通りかかった車に拾われ、とある村に案内された。 そこは自分の苗字と同じ信太村。祭りで賑わう村の様子はどこか古めかしくて奇妙だ。 わけがわからないまま褒名は、仏頂面の美丈夫、黒屋敷の若様こと御槌の世話になることに。ところがほんの数日間の滞在のつもりが……。 独善的な黒狐の若様と無自覚な迷狐の輿入れ騒動顛末記。