親に反対されながらも舞台俳優、それもブロードウェイの舞台に立つようなミュージカル俳優を目指している大学生の高須慎。
彼の原点は十二歳の時に観た『ミュージカル版ハムレット』――すらりとした長身、朗々と歌い上げる声、そしてアメジスト色の瞳。
主役を演じたフランツ・エールスベルク、その存在のすべてに圧倒され魅了されてしまった慎は以来、舞台俳優を目指し日々努力を続けていた。
そんなある日、慎がバイトをしているバーにフランツが打合せのため訪れるという情報が……。
なんとかして接触の機会を得ようと試みる慎だったが、その策略をフランツに見破られ、『退屈しのぎ』に弄ばれてしまう。
憧れの帝王、フランツに己の熱い情熱をぶつけることは叶ったものの力不足を思い知らされた慎。
再会を約して一年後、ニューヨークへと向かうが……。