《あらすじ》
エミリオは下級貴族アンドリューズ男爵家の長男で、オメガである。
美人な努力家だがオメガに似つかわしくない怪力&大食いで、それが原因でサザーランド侯爵家長男・ダミアンから婚約破棄されてしまった。
貴族社会では、オメガは未だに「跡継ぎを作るための道具」扱い。
中でも男のオメガは特に需要がなく、婚約破棄されたら一生独身でいるか、聖職者になるくらいしか道はなかった。
もう結婚は無理だな……と諦めていた矢先、この国の第一皇子ジャハンギールの花嫁コンペティションが開かれることを知る。
ジャハンギールは才気煥発で文武両道。南国出身の側室オメガとの子なので皇位継承順位は二番目という噂だった。
ちなみに花嫁の応募条件は「二十五歳までのオメガ(性別不問)」。
どうせすぐに落ちるだろうと思っていたのだが、エミリオはなぜか一次の書類審査、二次の教養審査を突破し、三次審査の残り十人に選ばれてしまう。
三次審査が行われる小城に逗留することになったエミリオだが、そこで風格ある美青年に出会い……。