《あらすじ》
妖狐の里で姉とともに暮らすアカネは、二十歳を迎えたのに変身術も使えない半人前。
早く一人前にならねばと日々変身の練習を行っていたのだが、ある嵐の日、姉が高熱を出して倒れてしまった。
慌てたアカネは万病に効くという薬草「弁天草」を求め、生まれて初めて里の外へ出る。
だが深い森の中でアカネは遭難。しかも里の入口は満月の日まで開かない…つまり今は帰るに帰れない状況だった。
そんな危機的状況の中、里を襲いにくる恐ろしい鬼にまで遭遇してしまう。
てっきり喰われるかと思いきや、逞しい肉体と美しい顔立ちを持つその鬼、荒鷹はアカネを己の屋敷に連れ帰ってくれた。
里の入口が開くまでの間、荒鷹の屋敷に居候させてもらうことになるアカネ。
その屋敷は荒鷹だけでなく、猫又の幼い姉妹や働き者の妖蛇が一緒に住まう賑やかで不思議な場所だった…。