照国北方の都・吉佳。 琥珀の髪に狼のごとき眼をした奴隷は、市場で城主のイェセカに買われシツァと名付けられた。 お前は俺の為に何ができる、と尋ねられ、アンタの為に死ねると即答したシツァ ――賢く働き者で、だがどこか死の翳を纏った狼奴隷にイェセカはいつになく執着を覚え、 その逸物に金環を嵌めて使えなくした挙句、お傍付きとした。 ある日、イェセカの弟である幼き皇帝トゥイシが、シツァを欲しいと言い出して…。