公務員上級試験をトップで通り、鳴り物入りで警視庁に入った後、超エリートとして順調に昇進。
二十九歳にして警視の肩書を得た綾瀬尚登。沈着冷静、時に冷酷非道。
ついたあだ名が「アンドロイド」――そんな綾瀬が失態を犯し二階級降格となって異動した先は、警視庁公安部外事課。
いわゆるスパイ狩りの部署である。
さっそくロシア人スパイの追尾に駆り出されることになった綾瀬は、日本人離れした美貌と体躯を持つ上司、瑞木警視正の度肝を抜く捜査に振り回されるはめに…。
端整な顔立ちに似合わぬ伝法な物言いや傲岸不遜な態度。
瑞木によってプライドを粉々され、否応なしにコンプレックスを引きずり出され…。
とまどい反発しつつも、次第に瑞木という「危険な迷宮」に嵌まっていく綾瀬。
そんな折、ロシア人スパイが内閣調査室の職員と接触を始め、追尾は新たな展開を迎えるが…。