情報システム企業の社長兼CEOを務める藤堂爵士はバツイチ、三十四歳。
ある日、高校時代からの腐れ縁の友人、大槻の頼みで横浜の小さな骨董屋・虧盈堂を訪れることに…。
要は、海外転勤となった大槻とその店の若きオーナー、桜井悠との関係清算の後始末である。
藤堂から切り出された大槻との別れ話に静かに涙をこぼす悠は、浮世離れした店の佇まいそのままに儚く美しく、藤堂はなぜか強く心惹かれてしまう。
やがて、悠の様子を見るという名目で多忙な仕事の合間を縫っては店を訪ね、たわいない会話を交わし、
ふたりだけのささやかな酒宴を愉しみ…藤堂は次第に悠への想いを募らせていく。
だが悠は、どうしても藤堂の気持ちに応えられない過去のある秘密をかかえていて…。
胸に響くリリカルロマンス。