
≪あらすじ≫
砂漠の民ウル――女系民族の彼らは娘のみが家名を継ぐことができ、
男は十二歳を過ぎると家族の暮らす村「アエズ」を出て「アガト」と呼ばれる一団に入って砂漠を守るという重要な仕事に就く。
やがて結婚が決まるとアエズに戻っていくが、未婚の間に母を亡くした男は結婚してはならない、という厳しい掟があった。
アガトに加わったばかりのリヤは十二歳。幼い頃に母を亡くしたため結婚ができず、死ぬまでここで暮らす運命だ。
ある時、砂漠で幾人かの死体とひとりの男の子が見つかる。彼らは砂漠の外にある国カザドヴァルの者らしく、争いの詳細はわからない。
生き残った少年の世話を任されたリヤは、自らをハヤブサと称し少年にはホオジロと名をつけてかいがいしく面倒をみてやった。
ひと月後、カザドヴァルから少年に迎えがきた。別れに泣くホオジロにリヤは母の形見の首飾りをかけてやる。
それから十六年。リヤはアガトの頭格になっていた。
そんなある日、カザドヴァルの第二王子エヴラールと名乗る若い男が軍勢を引き連れ、ウルの長と国事の交渉をしたいとやってきた――。