《あらすじ》
住宅設備機器メーカーの営業マン・水無月七生は極度の高所恐怖症。
それは幼い頃、マンションのベランダから転落しそうになった自分を助けようとして母親が亡くなったことに因るものだった。
ある晩、仕事帰りに神主のような恰好をした青年から突然、「その宝珠を僕にくれ」と言われ襲われる。
そこへひとりの男が現れ、恐怖におののく七生を抱えて空を飛び一緒に逃げてくれた。
そうしてパニックからようやく我に返った七生に、直垂姿で頭に耳のついたその美丈夫・雄黄は信じがたいことを告げる。
なんと七生の中には強い力、いわゆる「宝珠」が眠っていて、最初に七生を襲った青年は神のひとりの諏佐彦。
雄黄が仕える神・嵯峨彦とは対立関係にあって、雄黄は七生が諏佐彦に奪われないよう守るために遣わされてきたというのだ。
こうして、神の眷属である狐の雄黄とともに共同生活を送ることになった七生。
神同士の争いに巻きこまれ、さらに過去のトラウマの真相が明らかになっていく中で、真摯に七生を支えてくれる雄黄との関係も少しずつ変化していく。