美術品の修復師を目指している美大生・神城遙。村一番の旧家の末っ子で、幼い頃から実家の奇妙なしきたりに縛られて生きてきた。
だが、大学院に進学し引っ越しを済ませたばかりのある晩、遙は二つの決め事――雨の日の外出は控えること、
どんな時でもお守りのピアスをつけること――を破ってしまう。
そうして道に迷った遙は偶然に入ったスナックで、一人の少年を嬲りものにしている男たちに遭遇する。
「お前いい匂いがする」…逃げようとする遙を獣人の姿と化した男たちが押さえつける。
犯される!…覚悟した瞬間、店に木刀を手にした凛々しい風貌の男が…。
それは遙の行きつけの喫茶店の店員で、遙が密かに胸ときめかせていた相手。
『ハンター』と名乗った男・真守に助け出された遙は、自分が神の末裔の一族で生まれながらの稀少なオメガであるという、
記憶の底に閉じ込められていた真実を次第に思い出していき…。