表向きはウィスタリア・コーポレーションの社長、
真の姿は関東藤森組組長である藤森虎徹に命を捧げ、片腕としてずっと仕えてきた男――結城隼人。
スキンヘッドの巨躯、レイバンのサングラスがトレードマークの強面。そんな結城が、このところ何故か心乱されている相手がいる。
それは二年前に組長補佐となった新條竜也に仕える若衆頭・御幸泰三だ。
小柄ですばっしこくて機転が利く、笑顔が屈託ない若造。結城同様、自分の兄貴分である新條に命を賭けている、
そんな泰三に思いもよらぬ劣情を覚え、結城は戸惑うばかりだったが…。
ある日、新條が暴漢に襲われ側付きの泰三が怪我を負うという事件が。
側近の恋心に気づいていた藤森の指示で、結城は入院中の泰三に付き添うことになり…。
「劣情は鮮やかに、恋は秘めやかに」他、藤森と新條、12歳と17歳…十余年前の鮮烈な出会いを描く「夏の想い出」など、
血腥い世界に生きる男たちの不器用で切ない恋模様。
<虎と竜>シリーズ番外3編を収録。