ヴィオンがカルセニア王国第四王子エリアス付きの侍従となって六年が過ぎた。
エリアスは二十二歳だが、見た目も中身も幼くまるで永遠の少年――公務にも就かず離宮でひっそりと暮らす『王家のお荷物』だ。
この六年間、ヴィオンは一日中エリアスの相手をして過ごし、
そしてエリアスが遅い性の目覚めを迎えてからはその性処理までも手伝うようになっていた。
募る虚しさを紛らわすように深夜、城を抜け出しては男漁りをするようになったヴィオンはある晩、
南方の国ファインハルスから来たという精悍な男とめくるめくひと時を過ごしたあと、ほんのいたずら心で自分はこの国の第四王子であると告げる。
ところがそれからほどなくして、エリアスに縁談が舞い込んだ。
相手はファインハルス王国第三王子のバルドゥル――なんとあの夜のヴィオンの行きずりの相手だった。
こうしてヴィオンは、輿入れする主君エリアスとともにバルドゥルの城へ行くことになったが…。