新人漫画家の今里開里。彼には二つの悩みがあった。
一つは引っ越したばかりの部屋の騒音。
アパートの前をひっきりなしに通る車の音でネームに集中できず苛々する毎日。
そしてもう一つは…獣人であるということ。
人間たちに紛れて密かに受け継がれてきた獣人の血――その中でも開里は「種受け」と呼ばれる存在で、
発情期になるとより強い獣人の種を欲してフェロモンを出してしまうため痴漢や変質者の被害に遭うこともしょっちゅうだった。
そんなある日、仕事のできる静かな環境を求めて街を彷徨っていた開里は、
心安らぐようなコーヒーの香りに誘われ一軒のレトロな喫茶店に入った。
美形マスター、神河真人の温かい人柄、そして彼の淹れる特製ブレンドにすっかり魅せられ、
開里は毎日のように店に通うようになった。
実は真人も獣人で、どこかにいるはずの仲間を求めて彼らを引き寄せるコーヒーを店で出していたのだ。
匂いで開里が獣人であると気づく真人だが、一方の開里はそんなこととも知らず…。